はじめに

企業が持続的に成長していくためには、製品やサービスの品質向上だけでなく、業務全体の効率化とコスト管理が不可欠です。その中でも、見落とされがちなのが「間接材」の調達です。間接材とは、製品の製造には直接関与しないものの、企業活動を支えるために必要不可欠な資材です。

一方で、間接材はその種類が多岐にわたり、部署ごとにニーズが異なることも多く、調達業務が属人的になりやすく、管理が煩雑になりがちです。結果として、コストの最適化が進まず、業務効率の低下やガバナンスにも影響を及ぼす可能性があります。

本コラムでは、まず間接材の定義と直接材との違いを明確にしたうえで、間接材調達において企業が直面しがちな課題を整理いたします。あわせて、コスト削減に加え、業務改革につながる最適化のポイントをご紹介いたします。

目次

• 間接材とは？～直接材との違いについて～
• 間接材調達における課題
• コスト削減だけではない！～間接材調達の最適化がもたらす業務改革～

間接材とは？～直接材との違いについて～

間接材とは、製品の製造に直接関与しない資材のことを指します。例えば、事務用品、清掃用品、工具、備品、消耗品などが含まれます。一方、直接材は製品そのものを構成する部品や原材料など、製造工程に直接関わる資材です。

項目	直接材	間接材
定義	製品の主要な構成要素となる　　原材料、部品、資材。	製品の製造には直接組み込まれないが、生産活動を円滑に行うために必要な資材や備品。
管理方法	一元的な管理が行われることが多い。	各部門が個別に発注し、管理が分散化されやすい。
品目	高額小品種	少額多品種

間接材調達における課題

1．購買業務の不統一と属人化

間接材は部門ごとに必要な品目が異なるため、発注が各部署に任されているケースが多く、購買業務が属人的になりがちです。これにより、同じ品目でも異なる価格で購入される、発注履歴が一元管理されないなどの問題が発生しやすいです。

2．品目数の膨大さによる管理の煩雑さ

間接材は、少額かつ多品種で構成されることが多く、企業によっては数千点以上の品目を扱うケースもあります。また、自社で管理しているカタログも、更新やメンテナンスが難しくなってきており、マスタ情報の整備に関して、課題を抱える企業が少なくありません。

3．購買活動の透明性と統制が欠如

間接材の調達が各部署・各拠点に分散されている場合、購買ルールの運用が部門ごとに異なり、統制が十分に行き届かないケースが見受けられます。

コスト削減だけではない！～間接材購買の最適化がもたらす業務改革～

こうした課題に対して、間接材調達の最適化を進めることで、企業は単なるコスト削減以上の価値を得ることができます。以下の3つの観点から、調達改革によって得られる主要なメリットを3つの観点から解説いたします。

1. 購買プロセスの効率化

従来の分散的な購買業務では、複数のID・パスワード管理や、サプライヤーごとの個別対応が必要で、業務負荷が高くなりがちです。これを統合プラットフォームで一元管理することで、以下のような改善が可能になります。

• ID・PWの統合管理により、システム利用の手間を削減
• 汎用品だけでなく、個別商品も同一プラットフォームで購買可能
• ノンコア業務のアウトソースによって、社内リソースを戦略業務に集中

2. 統制強化とガバナンスの向上

間接材調達は、部門ごとの個別発注が常態化しやすく、ルール逸脱や不正のリスクが潜在しています。
購買プロセスを可視化し、統制を強化することで、以下のようなメリットが得られます。

• 全社の購買プロセスを可視化することで、発注状況や承認履歴を一元管理
• 不正・重複発注の排除によるコンプライアンス強化
• 内部統制の強化により、監査やリスク管理に対する対応精度と信頼性の向上

3. データ活用による継続的な改善

購買履歴や価格情報を蓄積・分析することで、調達活動のPDCAサイクルを回すことができます。

• 高頻度品目の標準化と集中購買によるコスト削減
• サプライヤーの見直しと契約条件の最適化
• 部門別の購買傾向の把握と予算管理の精度向上
• 環境配慮型製品の選定によるサステナビリティ対応

こうした取り組みの継続が、購買業務の質が向上し、社内の運用効率や調達の信頼性を高めることにつながります。

おわりに

間接材の調達は、日々の業務を支える重要な活動であり、企業の運営効率やコスト管理に確かな影響を与えます。属人的で分散しがちな購買業務を見直し、プロセスの標準化やデータ活用を進めることで、業務効率の向上、統制の強化、継続的な改善が可能になります。
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